代表挨拶
昭和の中程に生まれ育った我々にとって、家の外全てが遊び場でした。
田んぼ、小川、池、沼地、空地、裏山など、その中で簡単な遊び道具を作り、楽しんでいました。
クラフト工芸に出会ったのも40年ほど前のこと。作家を目指したり、あきらめたりしながら、人目に触れない作品を作り続けてきました。
そして、歳も60を超え「人生60からがおもしろい!」を意識して作品の幅を広げ、「人生65からが更におもしろい」とレベルを上げて今回に至っています。
私にとってのモノづくりの原点は、子供の頃の環境です。
遊び道具などを作ることも、裏山の木の枝、根っこ、つるなどを使って、作っては壊しながら笑っていました。そんな体験が私の作品の原点となり、形・色合いが作られました。
農業の米作りも時代と共に変化してきました。
手作業は機械化し、さらに機械も大型化や多機能へとアップされ、どんどん便利になっています。ただ、同時に使われなくなったものもあります。
機械は新しいモノと交換で処分されますが、ハゼ掛け棒は不用となり、軒先におかれたまま何十年と過ごし、今になって処分したいという人が増えてきました。
本来廃棄されるはずだったそのハゼ掛け棒を再利用して、イスやテーブルへと作品に仕上げました。
更に今の時代、古いものばかりでなく、新しいものでさえも捨てられるものが本当に多いです。その中で私が素材として目を付けたのがガラクタ化されてきている古いものです。
色あせたもの、欠けたもの、セットがばらけたもの、これこそが私の作品にマッチした素材となります。実際、このような物は捨てられてしまうことが多く、私との出会いが少ないのが残念です。
骨董品ではなく、捨てられる運命のものを蘇らせ、お互いの相性の良い素材でオブジェを作ります。
作る楽しみだけでなく、「使ってもらう楽しみ」「飾ってもらう楽しみ」そして「喜び」をこの歳になったからこそ感じる心地良さです。
『遅咲きのクラフトマン』。無理しないように無理したい。これが祥工房のスタイルです。
職人と作家。両、立場を経験してきた強みを活かして、作品の存在感を再アピールします。
趣味の山旅と並行して、生涯現役のクラフトマンであり続けます。
林 祥司
地域性
伊那谷は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた二大アルプスが望める地域です。
山育ちの自分にとって100名山も里山も同じ、目の前にある馴染みの山です。日々姿の変わる山々は、どれだけ見続けても、飽きない、酒とつまみの関係のようなものです。
伊那谷は、諏訪湖から太平洋へつながる天竜川が流れ、関東から九州へ繋がる断層の中央構造線がここを走っています。マニアならではの伊那谷と言えます。
信州そば、信州りんごもブランドのひとつです。
山旅、歴史旅、人生のゆっくり旅がここにはあります。
そんな伊那谷に祥工房があります。